18歳 春 その2。
康夫のバイクは4気筒だ。
350ccの排気量に4気筒のメカニズムは重さを感じるものの
マルチ特有の高回転の伸びのよさが自慢だ。
バンク角が浅いのが欠点だが立ち上がりで回転を落とす事無くコーナーを攻めていた。
五郎のバイクは250ccの2気筒だったがその軽さとマルチ並みの高回転の吹け上がりで
康夫の後を離れる事無く走っていた。
バイクのセンタースタンドから火花が散っている。
「いつもよりペースが速い」
五郎は思った。
心配してバックミラーを見たが敏子は後ろにぴったりとついていた。
3人はつづら折れのコーナーを登り頂上付近のスキー場の駐車場にバイクを停めた。
「どこで知り合ったんだ?」
五郎は聞いた。
「おう。前に怪我をして入院していたときに担当の看護婦さんだったんだ」
「いじけて今にも泣きそうだったわよ」
笑いながら敏子が言った。
「今は無職。ブラブラしているの。」
「喫茶店のバイトを始めたから今度来てね」
五郎はあらためて敏子を見た。
紺のジーパンに赤のジャンパー。胸元からは白のブラウスが見えていた。
小柄だがその体は高校生には眩しかった。
翌週の水曜日康夫から電話が来た。
「なあ。敏子の働いている喫茶店行って見ようぜ」
「おまえ行ったことないのか?」
「ああ。ひとりじゃあちょっとな」
次の日の午後授業をサボり二人は敏子のいる喫茶店に行った。
国道20号線の踏み切りの近くにあった。
厚い木のドアを開けるとカランカランと音がした。
店内のマスターと思われる人と敏子がこっちをみた。
「あら。いらっしゃい。学校は?」
「午後は自習なんだ。」
「二人ともなの?」
康夫と五郎は笑いながら国道の見えるテーブル席に座った。
学生服を脱ぎながら康夫はコーヒを頼んだ。
私服の五郎はセブンスターを取り出し火をつけた後コーラを頼んだ。
敏子は珈琲の出来るのを見ながらカウンターに立っていた。
ひざ上5センチぐらいのスカートから綺麗な足が伸びていた。
康夫が言った。
「なあ。敏子っていい女だよな」
「ああ」
「いくつなんだ?」
五郎が聞いた。
「22歳。2年ほど前に神奈川の方から来たみたいだ」
「4つ年上なんて関係ないよな?」
「ああ」
五郎はふたたびうなずいた。
注)この物語はフィクションです。 実在の人物、団体などには一切関係ありません。
画像はイメージです。(勝手にお借りしました、問題あれば削除いたします。)
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次回更新は週末です。?